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小説よりも奇なり。『迫り』

いくえさんは、私を椅子に座るように促し、ハーブティーと出雲大社のお土産のお菓子を

出してくれました。

 

「話にきたのでしょう?」

の、言葉に戸惑いながらも、馬鹿にされたくないという、しょうもない思いが

頭の中をめぐったのです。

いくえさんに張り合おうとした結果、私は紛れもなく『クズ』な話を始めたのです。

今、思い出しても、超絶に恥ずかしく、記憶を消し去りたいくらいです。

 

驚いたのは、彼女はそんな『クズ』な話にも、怯むことなく、いろんな観点から話を広げていくのです。

『クズ』な話は、誰が聞いても納得するような話の展開になり、彼女の見聞の広さには、まさに驚愕と言っても過言ではないくらいの印象でした。

 

 

気づけば、そんなしょうもない話でも、3時間が経とうとしていました。

今、思えば、いくえさんは「スピリチュアル」な話など一切していないのです。

「話にきた」私に最後まで付き合ってくれたのです。

 

 

サロンを出て、帰りの車の中で、

「終わった・・・」

と思ったことを今でも鮮明に覚えています。

 

また、会いたい。また、話してみたい。と思っているのに、

口から出るのは『クズ』な話ばかり。

いくえさんに、なんて失礼なことをしてしまったのだろう。

もう、私のことは拒まれても仕方ないと、本気で落ち込みました。

 

 

それから、程なく、なんといくえさんの方から、連絡があったのです。

 

 

「お時間がよろしければ、またサロンに来てくれませんか?」

 

私は、喜んで約束をしました。

 

 

 

二度目の再会。

今度こそ、失礼のないように。

 

サロンに入るとすぐに、いくえさんは私に、

「よく、生きてきましたね。」

と、言ったのです。

 

え・・・?

 

 

後日談ですが、初対面の時からすでに、いくえさんは私を視ながら

データをとっていたのです。

私の過去、価値観、そして前世。そして、将来。

そのデータを確かめたく、再度会いたいと思ったそうです。

 

 

 

その日も、いろんな話をしましたが、その中で私は、

「私、いくえさんのマネージャーに、なりたいんです!」

と言ったのです。

これは、初対面の時も言ってるのです。

私の口から勝手に、その言葉が出たと言うような感覚でした。

 

いくえさんは、ただニコニコと笑うだけでしたが、

 

 

そのあとに私が話した内容が、いくえさんの表情を変えたのです。

私は、

「私ね、50歳になったら、南阿蘇に行って出家したいと思ってるんですよ!」

と言ったのです。

これも、初対面の時にも話したことなのですが、二度目のこの時は、

いくえさんの表情が変わったのです。

 

そして、私に、

「あのさぁ・・・。私のマネージャーになりたいんだよね?」

と聞いてきたのです。

 

はい!なりたいです!

 

 

「でも、50歳になったら南阿蘇に行って出家するんだよね?

あと、12年しかないよ?」

 

 

あ・・・

 

 

 

「あと12年で、何ができるの?今までも何にも成し遂げてないよね?

そんな人が、たった12年、わたしのマネージャーをして、何かを成し遂げられるの?

そんなの、私のマネージャーになる気なんてないじゃん?」

 

 

 

私は、ハッとしました。

 

 

あの!南阿蘇に行くのはやめます!いくえさんのそばにいたいです!

 

 

「だいたいさ、出家って何のためにするの?何にも成し遂げてないのに、

出家して俗世間から離れて何がしたいの?何ができるの?

何かを成し遂げたいと思ってるんだよね?」

 

 

・・・何にも答えられませんでした。

私が、本当は何かを成し遂げたいと思っていることも、視られていたし、

「出家して何がしたいの?」

と言われて、何にも思い浮かばなかったのです。

 

 

 

 

この時の、いくえさんから感じる迫力、凄みは、今までいろんな占い師の方に

会ってきましたが、初めて感じるものでした。

 

 

 

その後も、何度か会っていくうちに、

いくえさんから、私の核心に迫ることを言われ始めるのです

 

 

(つづく)